前回の続き
続けて行こう
岩波文庫版内で傍点が打ってある言葉は太字にしています。
38頁~41頁
法の発展と言語・芸術の発展の姿は似ているが異なる。サヴィニーの言うように完全な法則では無く、プフタの主張する慣習は法的確信の単なる認識手段であるという事ではない。
サヴィニーは立法の介入に反対しているが、法の発展は追求・争奪・闘争、苦しい努力の姿をとる。正しい道の為の邪魔な抵抗物を打破していかなくてはいけない。
法が力と結びついた概念という命題が慣習法にも該当することだということをプフタは無視している。
確信は行為によってはじめて形成され、実際に力を示す。
法は過去から現在に至るまで闘争、苦しみ、努力や行為によって形成されていった。
サヴィニーの推測→先史時代は平和だった。
イェーリング→先史時代こそ全く平和でなく、特徴は粗野・非常・残酷・狡猾・策謀であり、後の時代に比べ容易に法を手に入れられたという想定は困難だ。
初期ローマ法の法命題である所有者の権能、債権者の権能でさえ、きびしい闘争の後に承認を得られた。
歴史は教えてくれる。法の出生は人間と同じく通常激しい陣痛を伴う。
41頁~42頁
国民が法を求め苦しみ闘い手に入れたからこそ生命の危険を伴う出産により生ずる母と子のつながりのように、国民と法との間にも固いきずなが生まれる。
何の苦労も無しに手に入った法はコウノトリが連れてきた赤子のようなもの。いつ、狐や鷲が持っていくかわからない。
赤子を生んだ母親はこれを許さない。
血を流しすほどの労苦の末に法を勝ち取った国民は、法が奪われることを許さない。
国民が自らの法に注ぎ貫くための支えとする愛情の力はその方を得る為に費やされた努力と労苦の大きさに比例する。
国民と法との固いきずなをつくるのは慣習では無く払った犠牲である。
神は国民に必要とする物を贈ることはしない。
苦労を軽減してくれることもしない。苦労を加重する。
法が生まれ出る為に必要な闘争は呪いでは無く祝福である。
続く