前回の続き
一 命の第7節から
一の7
Q「孟子の『これを為すこと莫くして為す者は天なり。これを致すこと莫くして至る者は命なり』への朱子の注釈に『理を以ってこれを言えば、これを天と謂い、人よりこれを言えば、これを命と謂う。其の実は則ち一のみ』とありますが、なぜ二つにわけるのですか?」
A「天と命は全く同じ理なのですが、ほんの少し区別が有ります。『為す』とは仕事のことです。仕事をするのは人ですが、人のした仕事でないことが天なのです。『至る』とは幸福や災いのことで、招き寄せるのは人ですが、人が招き寄せたもので無いのが命なのです。天は全体のことを指し、命はその中に現れるすぐれたはたらきのことを指します。朱子が『理を以ってこれを言えば、これを天と謂う』と説明されているのは、天の正しい意味から言われているのでありまして、命はその中に含まれているのです。『人よりこれを言えば、これを命と謂う』と説明されていますが、この命は天命のことでありまして、人に現れてはじめて天命であるとわかるのです。幸福や災いは天からやってきますが、人のところにやってきて初めて命となるのです。朱子の注釈は天の理の中から命の部分を切り離して説明されたまでですので、結局は天も命も一つという事なのです。天の方から幸福や災いを説いてもそれを人が受け取らなければ命であることはわからないのです」
疲れたので今日はここまで。
文の引用先
続く